インプラント 費用のこんな活用法
インプラントにプラークや歯石がついてしまうと、そこが細菌のすみかになってしまい、インプラント周囲炎を誘発します。
このため、前記のような日常生活での手入れと定期検診は欠かすことができません。
また、プラーク・コントロールやブラッシングなどの口腔ケアが十分にできていれば、おおかたのインプラント周囲炎の発症を防ぐことができます。
むしろ問題なのは、次に説明する「力学的要因」のほうです。
難しそうに聞こえる「力学的要因」という言葉ですが、わかりやすくいうと「その人独特の噛み方」のことです。
このなかには、咳合力(噛み合わせる力)、噛み方の癖(人間は食べ物を噛み砕くときに、歯は垂直に上下運動をしているわけではなく、顎を回すようにして歯ですりつぶしています)、さらに「ブラキシズム」(歯ぎしり)が激しい人も含まれます。
インプラントは垂直的な圧力にはたいへん強いのですが、側方圧といって横からの圧力や衝撃には弱いところがあります。
したがって、睡眠中にひどい歯ぎしりをする人の場合、さまざまな方向からの圧力がインプラントに過大な負荷をかけている可能性があります。
こうした負荷がインプラントに持続的にかかると、岐耗(こうもう)という人工歯冠が摩滅(まめつ)する現象が起こり、この負荷が人工歯根にも衝撃的に伝わることでインプラント周囲炎の引き金になると考えられています。
もちろん、私たちはこれらのことは計算ずみで、「診査・診断と治療計画」の過程で種々のテストや診査を行い、インプラントの設計図づくりをしています。
例えば、岐合圧測定器を用いて、その人の咳合力がどれぐらいのものかを診断します。
また、ガムを噛んでいただいて噛み癖をあらかじめ調べた上で、その人に合った岐合を考え、それに合わせてインプラントを埋入する位置を考えます。
歯ぎしりのひどい人には、薄いマウスピースを就寝中に装着していただくことがあります。
どんな治療が行われるか原因に応じた対策がとられます。
感染が原因の場合、基本的には「プラーク・コントロール」により、炎症を起こした歯石やプラークなどの原因物質を徹底的に除去します。
感染が粘膜にとどまっている初期のケースでは、インプラント周囲溝およびインプラント表面の洗浄を行い、マクロライド系の抗生物質の軟膏を歯周ポケット内に注入することで効果があがります。
このほかに、レーザーを照射して歯周ポケット内の殺菌を行ったり、「エアーポリッシング」といって、水や風圧を吹きつけ、患部を清潔にするなどの処置がとられることもあります。
ただし、感染がインプラント周囲溝深くまで進行している場合は、外科的な方法を組み合わせて治療にあたります。
外科手術による「病的なポケット(骨縁下ポケット)の除去」と「インプラント表面の汚染物質の除去」というものです。
さらに感染が進行してインプラントを支えている歯槽骨が吸収されている場合には、「再生療法」を応用した治療法があり、これについては次の章で詳しく触れることになります。
一般に治療終了後、一か月目に第一回の定期検診を行います。
次は三か月後、順調で何も問題がなければ、その後は三~六か月に一回というペースで定期検診が行われていきます(これはあくまでも目安で、各クリニックによって異なります。
私のクリニックでは、できるだけ月に一回くらい来院していただき、歯周病予防のための口腔ケアに努めています)。
では、なぜ定期検診が必要なのでしょうか。
歯科医師は次のことをポイントにチェックを行います。
「口腔ケアがきちんと行えているかどうか」、「インプラントに異常がないか、噛み合わせに問題がないかどうか」、「歯周病を含め口腔内に異常がみられないかどうか」、「顎関節(がくかんせつ)や岨噌筋(そしゃくきん)に異常がないかどうか」、「全身状態に異常がないかどうか」などを注意深く観察する必要があるのです。
以下、ポイントごとに解説します。
口腔ケアのチェック患者さんのご自宅での生活を含め、日常生活全般にわたって、歯および口腔内の管理が、指示どおりうまく行えているかどうかを確認します。
歯磨きがうまくできていなければ、再度ブラッシング指導をしますし、適切な歯ブラシに替えることなどを指示します。
プラークのチェックは、前記のご自分でできる歯垢染色剤による方法と同様に歯科医院でも行います。
さらに、歯周ポケットに細菌が繁殖していないかどうか、歯周病のリスク・ファクターを調べる診査法もあります。
前述したように、唾液は口腔内を中性に保つ働きがありますが、人によっては唾液の分泌量が減っている患者さんもいらっしゃいます(個人差はありますが、高齢になるとこの傾向が強まります。
また、「口腔乾燥症」といって、唾液の分泌が少ない病気の人もいらっしゃいます)。
さらに、人によってはこの唾液の中性化能力が強い人と弱い人がいます。
虫歯や歯周病になりやすいのはこうした能力が低い体質の人が多いといえますので、よりいっそう日ごろの口腔ケアの重要性が増してきます。
もし、プラークがたまっていた場合は、歯科衛生士ないし歯科医師が口腔内の清掃を行います。
そして、歯石が発見されたら「スケーリング」を行います。
最近では、レーザーによる歯周ポケットの殺菌を目的とした治療法も開発されています。
ただし、歯周ポケットが深く、どうしても歯石やプラークが取りきれない場合もあります。
こうしたケースでは、歯肉を切開して歯石やプラークを取り除く必要があります(局所麻酔をした後、歯肉を切開し、歯周ポケットにたまったプラークや歯石を除去し、歯肉の炎症部分を切除して縫合する手術です)。
インプラントと噛み合わせのチェックインプラントのネジがゆるんでいないか、インプラントに破壊やぐらつきがみられないかなどを、歯科医師は念入りにチェックします。
噛み合わせが悪かったり噛む力が強すぎたりすると、人工歯冠がすり減ってしまう原因ともなりかねず、硬い人工歯冠を装着した場合では、人工歯冠がすり減るかわりに人工歯根に衝撃が伝わり、骨の結合が失われる原因にもなりかねません。
前記のようにます。
ここで、簡単に口腔内の病気について触れておきましょう。
おなじみの口内炎をはじめとして、口のなかにはさまざまな病気が起こります。
私たち歯科口腔外科医が注意し噛み合わせの力が強すぎる人の場合や、特に歯ぎしり(寝ている間に無意識に非常に大きな力が働きます。
心理的ストレスが影響していると考えられています)がある人の場合は、注意が必要です。
俗に「なくて七癖」といいますが、人間には誰にでも、なにかしら癖があり、とりわけ、身体面での行動に顕著に現れます。
噛み方にも癖があり、右のほうでよく噛む人もいれば、逆に左のほうという人もいます。
このため、人工歯冠の磨耗度も人によって違いが出てきます。
また、好んで食べる食品によっても差が出てきます。
これらのことを慎重にチェックし、噛み合わせの調整をします。
ときにはデンタルエックス線を撮影して、インプラントと歯槽骨の状態を確認することがあります。
口腔内に異常がみられないかどうか口のなかというと、どうしても虫歯・歯周病・歯肉炎・プラーク・歯石などに目がいきがちですが、歯科医師は歯と歯茎だけを注意しているわけではありません。
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